『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』観た

 お祓いでした。

 シンエヴァはお祓いでした。

 苦悩と怨念に満ちた、この異常な虚構が最後に救いを求めたものは、やはり虚構でした。

 この作品が、現実を肯定できるものとするために行ったことは、虚構を肯定することでした。

 碇シンジが25年かけてたどり着き、くぐり抜けた姿は「碇シンジのネーム」でした。

 

 虚構として我々の前に現れることを受け入れることを通して、彼はますます人間らしくなりました。

 おめでとう……、おめでとう……。

 

 という感想だった。とてもよかった。

 メタフィクション的な部分を置いておいても、あの誇大妄想的かつパラノイアックで病的な世界に生まれてしまったリリンとかいう奴らとその模造品どもが、あらゆるでたらめに抗して生きてゆく姿が無常的でよかった。

 「人を捨てる」という表現が出てくるけど、最初から人とも言い難いような奴らだからこその虚しくも尊い重みがあってよかった。

 仮称アヤナミのあの生の肯定がよかった。あれが決定的だった。あれがなければシンジによる救済は嘘っぽくしかならなかったろう。

 

 

 というわけですごく真面目にすごくふつうにすごくベタに大感心して観た。うらやましいか。