出現7

クジュテメシナは遺伝子改造によって毛皮を備えて生まれた男から剥いだ人皮のファーコートを着込んで3年2組で開催される生徒会に現れた。部屋の中心には直径3cmほどの円柱となって床と遥かに高い天井をつないでいる今代生徒会長ツナギ・アルケプヒュラがいた。ツナギ・アルケプヒュラが起こす放電現象から参加者を守るためのアースが鈍い音を立てて震えているのを聞くたび、クジュテメシナは遠い昔の秋にこの会議の場で殺された少女のことを思い出すのだ。

永遠のものがあまりにありふれてしまった場所では、有限のもの、終わるもの、繰り返さないものはとても貴重だ。少女ウルッスス・ピエトはそのような数少ない例外であり、そのような例外を作り出すため計画的に殺されたのだ。それ以来、この教室はとても神聖な場所となった。

アルケプヒュラの精神はあまりにも多くを蓄積し、自重によって崩壊し圧縮され変質した。アルケプヒュラには心も魂もアルゴリスムも世界もなく、だがそれはとても彼らしい性格だった。アルケプヒュラは会議に集った者の意思を収集し融合させつなぎ留め、それを機関に反映させる。アルケプヒュラをそのように改造したのはメズ・アルズだった。メズ・アルズは物言わぬ絨毯となって列席者に踏まれている。

クジュテメシナがこの生徒会に参加した理由は、ザテンニベのテトリスを捜索するためだ。必ずテトリスの貌をこの目で見る。